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楊仲華・著 村田孜郎・訳(改訂新版)
A5判・上製クロス装・函入・240頁 2009年9月刊
定価:7000円+税 ISBN978-4-86330-032-3
中国の対チベット政策の原点を記した貴重史料!
現在の中国・四川省とチベット自治区にまたがる「カム地方」に、20世紀前半の中華民国時代に設けられていた「西康省」。チベット族と漢民族の接触地点であり、重慶からチベット高原やビルマ、ベンガルを結ぶ要所として、日中戦争や国共内戦の戦略上も大変重要視されていた。その歴史と1930年代当時の情勢や、チベット中央部とは一風異なった当地の文化・社会制度などを、中国人学者が綿密に調査した貴重史料! 中国とチベットの交渉史、近代アジア史に必携!
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「近代チベット史叢書」推薦文 小峰彌彦(大正大学学長・仏教学博士)
2009年は、1959年のチベット民族蜂起より50年の年にあたる。昨年の北京オリンピックの折りにも解放問題をめぐり、世界各地で解放を望む運動が顕在化したことは記憶に新しい。とはいえこの問題も、決定的な武力紛争までいたらなかったこと、さらには中国への配慮なども影響し、日本においての関心はそれほど高くなるには至らなかったのが現況である。だが、チベット問題は、当該の民族のみのことではなく、国際的にも重要な課題であることは間違いない。それ故、私たちはこの課題に真剣に向き合う必要があるが、そのためにはチベットに対する基礎的な知識を備えた上の正しい認識が不可欠となるのである。
本叢書は「20世紀初頭から第二次世界大戦に至るチベットの歴史と民族文化」を学ぶ基礎的な資料としても重要であるし、チベット問題の原点を考察する上で貴重な材料を提供している良書である。青木文教氏をはじめとする著者の体験を通しての報告は、読者に多くの知識と示唆を与えるものと確信するものである。 |
著者略歴
著者:楊仲華(よう・ちゅうか)
西康生まれ。北京中央政治学校卒業。
訳者:村田 孜郎(むらた・しろう)
新聞記者、文筆家。佐賀県出身。東亜同文書院卒。大阪毎日新聞上海支局長、東京日日新聞東亜課長、読売新聞東亜部長等を歴任。芥川龍之介と親交を持った。昭和20年上海で歿。著書『支那政治思想史』『宋美齢』等。(?‐1945) |
目次
第一章 西康の歴史
第一節 古代史
第二節 清代の西康経営
第三節 民国以来の西康
第四節 西康外交史略
第二章 西康の地理
第一節 疆域
第二節 地勢 気候
第三節 山脈 河川
第四節 交通
第三章 西康の経済
第一節 政府の財政
第二節 社会経済
第三節 農業情形
第四節 牧畜概況
第五節 商務情況
第六節 工業概況
第四章 民族社会
第一節 西康民族の来源と分布状況
第二節 西康人口の統計
第三節 体格の特性及び道徳観念
第四節 言語文字
第五節 西康土地の分配状況及び社会階級
第六節 西康郷村組織及び家族制度
第七節 西康民衆勢力及び外国勢力の分析
第八節 西康民衆の負担義務
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第五章 西康の政治
第一節 改制後の施設
第二節 民国の対西康省施政及び
二十四軍宣撫統治後の政治
第三節 法律意識
第六章 西康の教育
第一節 史略
第二節 教育経費
第三節 学校教育
第四節 社会教育
第七章 西康の宗教
第一節 ラマ教
第二節 キリスト教
第三節 回教
第四節 儒教
第八章 西康民衆の生活状況
第一節 飲食
第二節 衣服
第三節 居住
第四節 旅行
第五節 娯楽
第六節 衛生
第九章 西康の物産
第一節 植物
第二節 動物
第三節 鉱物 |
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