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トップページ >> 既刊・新刊 >> 河口慧海著作選集 4(第2回配本) >> シャクンタラー姫

シャクンタラー姫 河口慧海著作選集 第4巻

シャクンタラー姫・書影
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शकुन्‍तला  Śakuntalā
カーリダーサ 著/河口慧海 訳/日高 彪 校訂
A5判・上製クロス装・函入・208ページ 2009年12月刊
定価:4700円+税 ISBN978-4-86330-037-8 

 ゲーテも絶賛したインドの国民的古典戯曲
サンスクリット語原典に基づく歴史的名訳!

かのゲーテも絶賛した、インドの国民的古典戯曲として名高い『シャクンタラー』。大叙事詩『マハーバーラタ』を基に、“インドのシェイクスピア”とも称される古代グプタ朝の詩人カーリダーサが歌劇の形に再編した、聖女と王の数奇な恋物語。日本人初のチベット探検者であり、印度学の開拓者としても活躍した河口慧海が、サンスクリット(梵語)の原典に基づき正確かつ読みやすく邦訳した歴史的名訳!(改訂新版)

  Sakontala.
Willst du die Blüte des frühen,
die Früchte des späteren Jahres,
Willst du, was reizt und entzückt,
willst du, was sättigt und nährt,
Willst du den Himmel, die Erde
mit Einem Namen begreifen,
Nenn' ich, Sakontala, dich,
und so ist alles gesagt.
―Goethe 1791―
 シャクンタラー
一年の若い季節のすべての花を、
    その終わりのすべての果実を、
心を魅らせ、恍惚とさせ、
    充ち足らせるものを、
この地と天とを求めるなら、
    ただ一語で表せば、
私はためらわずにその名を呼ぶ、
    おお、シャクンタラー!
1791年 ゲーテ原作 1924年 葉舟重訳
(本書巻頭より)

 従来わが国においては、シャクンタラーを梵語の原典より直接に翻訳せるものなし。(中略)イギリス訳によって重訳せるものなり。しかしてこの両イギリス訳は前述せる如く盲目的歓迎を受けたるナーガリ字体のものによれるものにして、その不完全なるはここに説明を繰り返すまでもなきところなり。試みにかの和訳を繙かんか、いずれも原梵文より離るること甚だ遠く、中には原文と全く反対の意に翻訳されたるものも少なからず、また何の意たるかを捕捉し難き箇所も多し。いずれもインドの実際に接せざる人々のこととて、その地理、気候、風俗、習慣及び印度詩人の情想等を知るに由なく、随って、漫然イギリス訳によって逐次重訳せるものなればその和訳によって全編に現れたるインド趣味を解せられざるも当然なりと云うべし。不完全なる原書によれる上に、イギリス語は風俗習慣信仰の全く異なる人種の用語なれば、さらにこれによって重訳を試みたるわが訳者が如何に労苦されたりとて、その真趣に到達し能わざりしは無理ならぬことと云うべし。
 余かつてインド・ベナレスに在って、梵語研究の際、イスワラ=チャンドラ=ヴィデヤ=サーガル出版のシャクンタラー梵語により、かねてボンベイ版、ベンゴール版、ジーヴァ=ナンダ版、パタンカール版、モニエル=ウィリアム版及びヒンディー語訳等を参照し、隔日に同地梵語大学助教授ラシカ=ラール=バハッタ=アーチャルヤ師の講筵に列せり。(中略)

 かの地に滞在すること17年に及び、いささか実状にも通じ、詩聖の感得せし真趣を写すにおいて、最善の努力を致せるものなれば、方面の異なるを省みず、わが文学界に対し、梵語よりせる直接の獲物を捧げんと欲す。(本書あとがきより抜粋)

「河口慧海著作選集」推薦文  チベット文化研究会会長 高山龍三

百年余前、チベット探検僧としてもてはやされた河口慧海、一年余で再渡印、インド、ネパール、チベットに計一七年も滞在、仏教、チベット語、梵語を学んだ。帰国したときは五〇歳、彼の研究と著作はその後に始まる。あまりにも有名な『チベット旅行記』のみ取りあげられるが、日本におけるチベット学の祖として、請来した経典の翻訳、研究、チベット語学生の養成、未完に終わったが辞典編纂につとめた。慧海を扱った本や論文は日本だけでなく、中国、欧米にも及び、増え続けている。彼の仏教思想は改めて現代に問い直されている。彼は学究としての道をとらず、また僧としての地位に安住せず、行動する真の宗教者として一生を終えた。彼の請来した文献や多方面にわたる文物は、公共の機関に所蔵され、チベット文化研究に貢献した。そのいくつかの著作は復刻されたが、ここに現代人が読みやすいように、書籍化されるようになったのは、幸せなことである。

著者略歴

訳編者:河口慧海(かわぐち・えかい) 1866-1945
仏教学者、僧侶。大阪府堺市生まれ。哲学館(現・東洋大学)、黄檗山万福寺に学ぶ。大乗仏教の原典を求め、単身チベット探検を敢行、明治34年(1901)日本人で初めてチベットの首府ラサに到達する。大正2年(1913)2度目のチベット入りを果たし、チベット大蔵経等を将来する。帰国後、大正大学教授。著書『西蔵旅行記』は現在まで広く読み継がれている。

原著者:カーリダーサ Kālidāsa कालिदास
古代インドの詩人・劇作家。5世紀頃グプタ朝時代の人物とされる。叙事詩『ラグヴァンサ』、抒情詩『雲の使い』(メーガドゥタ)などはサンスクリット文学の最高傑作と讃えられる。(生没年不詳)

目次

 祝詞
 序幕
 第一幕
 第二幕
 第三幕
 第四幕
 第五幕
 中幕
 第六幕
 第七幕
付録
 シャクンタラー姫の後に書す 訳者稿
 原著者カーリ=ダーサ小伝 訳者稿

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