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正真仏教 河口慧海著作選集 第5巻

正真仏教・書影
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河口慧海 著
日高 彪 編/奥山直司・解説(改訂新版)
A5判・上製クロス装・函入・304ページ 2010年8月刊
定価:7000円+税 ISBN978-4-86330-042-2

釈迦の精神を正しく受け継ぐ真の仏教とは?
晩年の慧海が著した仏教論の集大成!

邦人初のチベット探検・留学を達成した業績で知られる河口慧海。自ら命懸けでチベット、ネパールより持ち帰った蔵伝仏典・サンスクリット仏典の研究に基づき、釈迦の説いた本来の教えを考察するとともに、当時の仏教界の実情を憂い、学際的かつ類い稀なる真摯な求道姿勢で「真の仏教」を終生探究した。慧海一代の求道の帰結というべき大著『正真仏教』、いま蘇る!

「河口慧海著作選集」推薦文  チベット文化研究会会長 高山龍三

百年余前、チベット探検僧としてもてはやされた河口慧海、一年余で再渡印、インド、ネパール、チベットに計一七年も滞在、仏教、チベット語、梵語を学んだ。帰国したときは五〇歳、彼の研究と著作はその後に始まる。あまりにも有名な『チベット旅行記』のみ取りあげられるが、日本におけるチベット学の祖として、請来した経典の翻訳、研究、チベット語学生の養成、未完に終わったが辞典編纂につとめた。慧海を扱った本や論文は日本だけでなく、中国、欧米にも及び、増え続けている。彼の仏教思想は改めて現代に問い直されている。彼は学究としての道をとらず、また僧としての地位に安住せず、行動する真の宗教者として一生を終えた。彼の請来した文献や多方面にわたる文物は、公共の機関に所蔵され、チベット文化研究に貢献した。そのいくつかの著作は復刻されたが、ここに現代人が読みやすいように、書籍化されるようになったのは、幸せなことである。

著者略歴

河口慧海(かわぐち・えかい) 1866-1945
仏教学者、僧侶。大阪府堺市生まれ。哲学館(現・東洋大学)、黄檗山万福寺に学ぶ。仏教の原典を求め、単身チベット探検を敢行、明治34年(1901)日本人で初めてチベットの首府ラサに到達する。大正2年(1913)2度目のチベット入りを果たし、チベット大蔵経等を将来する。帰国後、大正大学教授。著書『西蔵旅行記』『在家仏教』等。(1866-1945)

目次

第一篇 総 論
一 仏教とは何であるか
二 正真仏教の義釈
三 大乗家の戒律無用説
四 理体法身の広大無礙は罪悪に適用される
五 法無我説は梵我説に対する否定
六 仏陀は法身を説かなかったか
七 梵語法身dharma Kāyaの語義について
八 達磨の語源と語義
九 戒律の実行なければ仏教はない
一〇 戒律実行者は国家社会の精神的福田である
一一 現代流行する大乗家の主張
一二 根本仏教の歴史的起源
一三 根本仏教教義の特徴
一四 四諦十二因縁は純正大乗である
一五 根本仏教の終末と原始仏教の起源
一六 原始仏教の特徴
一七 小乗仏教成立時代の特徴
一八 根本仏教の中道
一九 阿羅漢という語の異なる用法
二〇 小乗仏教は邪悪のみなるか
二一 大乗復興の萌芽
二二 大乗経典の排斥とその興隆
二三 初出大乗経典の特徴
二四 根本大乗仏教の復興
第二篇 仏 宝
二五 仏とは何であるか
二六 此土は一仏か多仏か
二七 浄土の有無について
二八 仏の法身解釈の変化
二九 女人成仏の意義の変遷
三〇 龍樹大士第二法鼓を打つ
三一 第二期大乗の法身説
三二 一即三か三即別異か
三三 理体法身説の者は修得清浄行を無視する
三四 第三期大乗の法身説
三五 第三期大乗終末の六大法身説
三六 六大法身論の起源
三七 根本仏教は万有神教であるか
三八 帰依仏と南無仏
三九 観仏と念仏と称名
四〇 禅宗の観仏
四一 禅宗の念仏称名
四二 真正の禅は存在したか
四三 実に仏陀は世界の救主である
四四 仏陀の人格を信ずるが向上の捷径
第三篇 法 宝
四五 根本仏教における法の説明
四六 実行実証は根本仏教の本義
四七 八正道の義釈
四八 三学の解釈
四九 受戒の起源
五〇 三帰戒の原文とその重要性
五一 諸種の戒律
五二 五戒の真義
五三 不殺生戒の詳解
五四 不偸盗戒の詳釈
五五 不邪婬戒の詳釈
五六 不妄語戒の詳釈
五七 不飲酒戒の詳釈
五八 五戒実行についての例外
五九 五戒が菩薩戒となる事
六〇 定の原語とその意義
六一 如来禅と祖師禅との同異
六二 根本仏教の禅と祖師禅
六三 野狐禅解謎禅売禅の害毒
六四 根本仏教の真空観と趙洲の無字
六五 無字関白隠家の型的問答
六六 出家的正真仏教の絶滅
六七 根本仏教優婆塞禅定
六八 八正道の実行について
六九 正見基準による国際平和の確立
七〇 正見的教養のなかった欧米人
七一 正見の徹底と因縁因果律
七二 五蘊世間と衆生世間との釈
七三 十界の意義について
七四 菩薩とその身分について
七五 声聞と独覚と菩薩と仏陀との異同
七六 因果原理に対する疑念と解釈
七七 原因結果律の各自業と共同業
七八 三世と三時業と不定業について
七九 三世の異説とその批判
八〇 仏教の常識的論理法
八一 同因異縁によって異果を結ぶ
八二 因縁因果応報の個人的永久無限性
八三 中絶帰無する事のない業力と因果律
第四篇 僧 宝
八四 僧の語源とその語義
八五 出家比丘の僧衆は一人もない
八六 優婆塞僧伽の実義
八七 修徳士修徳女の起つべき時代
八八 在家僧伽の本分と分業
八九 優婆塞僧伽(在家僧)の理想
九〇 在家僧理想人物の発心
九一 第一檀那波羅密多(布施度)
九二 第二尸羅波羅密多(持戒度)
九三 第三羼提波羅密多(忍辱度)
九四 第四毘梨耶波羅密多(精進度)
九五 第五禅那波羅密多(静慮度)
九六 第六般若波羅密多(最勝智度)
九七 般若心経の国訳と頭註解義
九八 正真仏教に六度を説く理由
第五篇 在家仏教
九九 正真仏教は即ち在家仏教
一〇〇 在家仏教の原語義とその教徒
一〇一 在家仏教の本尊
一〇二 存家仏教三帰一帰の解
一〇三 在家仏教伝灯史の材料について
一〇四 在家仏教の伝灯について
一〇五 在家僧伽活動の範囲とその精神
一〇六 和は治国安世の最良法
一〇七 加行僧伽と実行僧伽
一〇八 菩薩行進歌

第一篇 総論の註
第二篇 仏宝篇の註
第三篇 法宝の註
第四篇 僧宝の註
第五篇 在家仏教の註

正真仏教解題

『正真仏教』解説
(高野山大学教授 奥山 直司)

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