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河口慧海 著/日高 彪 編・校訂(改訂新版)
A5判・上製クロス装・函入・307ページ 2012年2月刊
定価:9000円+税 ISBN978-4-86330-055-2
慧海自ら請来した貴重なチベット伝『大日経』の完全和訳!
邦人初のチベット探検・留学を達成した業績で知られる河口慧海。決死の入蔵行の動機には、異本・異訳が錯綜する漢訳仏典に対する疑問と、「真の仏教」を探求する強い求道精神があった。
インドのサンスクリット(梵文)仏典の多くが散逸してしまった中、梵文から直接、忠実に翻訳されたチベット語(蔵文)仏典は、原典に極めて近い大乗仏典の宝庫として大変貴重である。
かくて幾多の困難を乗り越えてチベットより持ち帰った蔵文仏典に基づき、密教の根本経典『大日経』全文を正確に和訳した本書は、慧海の命を懸けた求法の結実! この珠玉の名著が、新字体による読みやすい改訂版として今蘇る!
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☆総396頁の大部! 真言/天台密教学・仏典研究に必携!
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本書序文より抜粋
従来我が国一部の学者の間には、西蔵(チベット)訳の大日経は、漢文から訳せられたものであって、随って大日経そのものは、漢土において著述せられたものではないかとさえ、思考する者もあったのである。しかしこの考えは、西蔵訳の大日経が実際に研究せられてから、全く何の根拠もない思想であることが明らかになった。
いずれにしても、漢訳大日経の多くの部分が疑問視せられることは、脱がれ難い状態であった。殊に典文に対して不審の起った場合には、その典文を確実と信じて解釈することの出来ない弱味のあったことは当然である。
それらの難問に対して、西蔵訳文は確実なりと、信じ得られる根拠をもっているものである。なぜならば西蔵訳の本典は、その訳せらるべき原書の写本を撰び、その上に印度の梵語の大学者シレンドラ・ボーデヒ(戒自在覚)と、西蔵の大校正翻訳官、パンデー・パルツェク(僧、徳積)とが、共訳校正して出版したものだからである。
兎に角大日経の原本は、世界の何れにおいても、発見することの出来ないものである。勿論我が国に於てもその原本は存在しないのである。ただ漢文の訳書のみ存在している時に当って、その蔵文の和訳を出すことは、真言学界に対して甚大なる必要あることは、言を待たないところである。 |
「河口慧海著作選集」推薦文 チベット文化研究会会長 高山龍三
百年余前、チベット探検僧としてもてはやされた河口慧海、一年余で再渡印、インド、ネパール、チベットに計一七年も滞在、仏教、チベット語、梵語を学んだ。帰国したときは五〇歳、彼の研究と著作はその後に始まる。あまりにも有名な『チベット旅行記』のみ取りあげられるが、日本におけるチベット学の祖として、請来した経典の翻訳、研究、チベット語学生の養成、未完に終わったが辞典編纂につとめた。慧海を扱った本や論文は日本だけでなく、中国、欧米にも及び、増え続けている。彼の仏教思想は改めて現代に問い直されている。彼は学究としての道をとらず、また僧としての地位に安住せず、行動する真の宗教者として一生を終えた。彼の請来した文献や多方面にわたる文物は、公共の機関に所蔵され、チベット文化研究に貢献した。そのいくつかの著作は復刻されたが、ここに現代人が読みやすいように、書籍化されるようになったのは、幸せなことである。 |
著者略歴
河口慧海(かわぐち・えかい) 1866-1945
仏教学者、僧侶。大阪府堺市生まれ。哲学館(現・東洋大学)、黄檗山万福寺に学ぶ。仏教の原典を求め、単身チベット探検を敢行、明治34年(1901)日本人で初めてチベットの首府ラサに到達する。大正2年(1913)2度目のチベット入りを果たし、チベット大蔵経等を将来する。帰国後、大正大学教授。著書『西蔵旅行記』『在家仏教』等。(1866-1945) |
目次
題目(印度語 西蔵語 日本語)
内編
一、心の差別を説く品
入真言門住心品第一
巻第一
二、曼荼羅建立の秘密真言蔵
入曼荼羅具縁真言品第二
巻第二
三、障を滅することを広説する品
息障品第三
巻第三
四、普通真言蔵を広説する品
普通真言蔵品第四
五、世間の人の悉地成就を説く品
世間成就品第五
六、悉地成就の自性を説く品
悉地出現品第六
成就悉地品第七
巻第四
七、本尊三昧の決定を説く品
説本尊三昧品第二十八
八、無相三昧の決定を説く品
説無相三昧品第二十九
九、世間と出世間との持誦の自性を説く品
世出世持誦品第三十
十、字輪を広説する品
転字輪曼荼羅行品第八
十一、印を広説する品
密印品第九
巻第五
十二、種一切に入る門にして法の字法を説く品
字輪品第十
十三、秘密曼荼羅を広説する品
秘密曼荼羅品第十一
巻第六
十四、秘密曼荼羅に入ることを説く品
入秘密曼荼羅品第十二
十五、秘密八印を説く品
秘密八印品第十四 |
十六、秘来曼荼羅の位に入ることを広説する品
入秘密曼荼羅位品第十三
十七、明真言の禁戒を広説する品
持明禁戒品第十五
十八、阿闍梨自性と名付くるを説く品
阿闍梨真実智品第十六
十九、字の建立を広説する品
布字品第十七
二十、菩薩の学処の総べてを持つ事を説く品
受方便学処品第十八
二十一、百字生を示すことを広説する品
説百字生品第十九
巻第七
二十二、結果教示品
百字相応品第二十
二十三、百字完全建立成就説示品
百字位成品第二十一
二十四、我性成就を説く品
百字成就持論品第二十二
二十五、百字真言の儀軌を説く品
百字真言法品第二十三
二十六、成就菩提の自性を示すことを説く品
説菩提性品第二十四
二十七、三正言行を説く品
三三昧耶品第二十五
二十八、如来を示すことを説く品
説如来品第二十六
二十九、真言門よりして菩薩行を行ふ所の儀軌の総てを説く品
世出世護摩法品第二十七
嘱累品第三十二
外編
一、寂静(息災)護摩儀軌を説く品
二、拡大(増益)行護儀軌を説く品
三、権力(摂召)護摩を説く品
四、折伏行護摩儀軌を説く品
五、観字を建立する潅頂を説く品
六、持誦の儀軌を説く品
七、如来生と名づくる大曼荼羅加持を説く品 |
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