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ひしがれたる者の呻き  日本の司法福祉の源流をたずねて 3

ひしがれたる者の呻き・書影
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原 胤昭・著
A5判・上製クロス装・函入 2016年6月刊 232頁
定価:7000円+税 ISBN978-4-86330-164-1 C0332

第3巻(第2回配本)
出獄人(刑務所出所者)を受け入れる社会の為に!

「準国事犯」としての投獄経験から出獄人(刑務所出所者)の保護活動を始め、「免囚保護の父」と呼ばれた原胤昭が、五十年に及ぶ自らの保護事業を語る。出獄人たちが置かれている苦境の具体的な説明だけでなく、その改善策をも提示する。(改訂新版)

本書より抜粋

「私ども釈放者の身柄は、この前科者と云う烙印が拭い去られない間は、いくら改心しても生存の途は塞がれ、生きる為めに犯罪を為すようになって参ります。今日の新聞紙に現れる大犯罪事件の大部分が、前科者や累犯者に多い結果を生む理由はここにあるのであります。この烙印が消えない間は行くべき場所もなければ、真面目な安息も得られないのであります。改心を示し、上の御慈悲御仁恤を感謝する人々の心の裏には、人を欺き、己れを欺く虚構が潜んで居ります。私どもには安心がない。実際には食うことさえ出来ません。働いて食うためには手足さえ出せないようになって居ります。現在の制度には更生の余地がありません。私どもの前には恵まれた利益さえも得られないように、御規則が待って居ります」(本文より、とある前科者の言葉)

著者略歴

[著者] 原胤昭(はら・たねあき)
社会事業家、教誨師、「免囚保護の父」。江戸南町奉行所で与力を務め、石川島人足寄場などで働いた。明治期になり、築地英学校に入学。クリストファー・カロザースから受洗し、東京第一長老教会の設立会員となる。そこで日本で初めてサンタクロースを演じた。また、日本最初のキリスト教書店・十字屋(今日の銀座十字屋)および原女学院(日本女子大学の前身の一つ)を設立。福島事件に際し、その指導者の錦絵を出版したために出版条例違反で石川島監獄に収監。獄中の非人道的な環境に疑問を抱く。出獄後、日本で最初のキリスト教の(信徒)教誨師となる。東京出獄人保護所および中央慈善協会を設立し、一万三千人の出獄人を保護した。さらに日本で初めて本格的に児童虐待の問題に取り組み、児童虐待防止協会を設立。家庭内の虐待と児童労働による酷使の双方の解決に尽力した。元和の大殉教で処刑されたヨハネ(ジョアン)原胤信(主水)の大叔父の子孫にあたる。(1853-1942)

目次

序にかえて
一 緒言
二 前科者の総数
三 恩赦
1 朝政御一新の大赦
2 憲法発布の大赦
3 英照皇太后御大喪の減刑
4 明治大帝御大喪の恩赦
5 昭憲皇太后御大喪の減刑
四 昭和二年の恩赦
6 大正天皇御大喪の恩赦復権
7 十年前の釈放者は悉く復権
五 恩赦の種別とその説明
8 大赦
9 特赦
10 減刑
11 復権
六 昭和復権令の恵沢
12 衆議院議員選挙法の新旧対照
13 改善前科者の苦痛
14 改善前科者の生活現状
15 蘇生った民の歓び
16 恩赦復権の実行は七ヶ月後に完成
17 昭和の復権には『検事局通知の有無は効力に何ら関係無き』旨の訓達
七 戸籍の汚れ
18 尊き我が国民の羞恥心
19 祖父、父、自分の三代公咎を受けない昔の由緒書
20 朱で筆太に書入れてある戸籍謄本
八 犯罪人名簿
21 犯罪人名簿とはいかなるものか
22 四十五年間の記録で六十年間の事実は判らぬ筈
23 前科者三十人の前科を本簿役場に問うた答 有 六、 無 二十四件
24 転籍の場合にはしばしば移牒脱漏がある
25 新たに就籍する前科者は犯罪登録が無い
26 本籍氏名詐称受刑者の本籍には犯罪登録はして無い
27 公簿焼失の役場では前科も焼失
28 犯罪人名簿は犯罪捜査の要具
九 身分証明の行路難
29 前科者の活路を鎖す官門一〇三
30 頑固な鉄道省門
31 前科者の活路に入れる第一号門
32 官公工業門も開いた
33 前科者の活路に入れる第二号門
34 私の苦い経験
35 前科者の活路に入れる第三号門
十 寛大なる身分証明
36 身分証明書とはどんなものか
37 身分証明が無いから喰ってゆけない
38 刑の執行猶予者と犯罪人名簿
39 刑の執行猶予満了者の身分証明書
40 復権裁可になった前科者の身分証明書
41 危うく自殺されるところ
十一 無限に追放さるる同胞
42 無期日本全国追放
43 海外に身を立てた可憐の同胞
44 映画『鮮血の誉』の哀話
45 復権の出願には五百円金を要す
十二 刑は厳正に 赦は深重に
46 赦恩の潮流は余りに瀞々
47 幕府の御赦帳は非常持退き御用物
48 幕府では吉凶事御赦が幾度も有った
49 維新の大赦、御赦掛りの行賞
十三 最大の矛盾
50 時効と改善前科者の生涯
51 公務に虚偽行為を強ゆ
52 復権だけではやっぱり前科者
十四 彼らを遇するの途
十五 前科者諸君に告ぐ

[附録]
刑余者への追刑
一 三代調べ
二 復権の許可
三 前科者と云う烙印
四 昔の不良少年
刑軍に敗けた旭旗
一 発端
二 暗黒世界の第一歩
三 国交断絶
四 ○○の格闘戦
五 天は未だ我に機を与えざるか
六 法律の迫害
七 家庭の迫害
八 商売の迫害
九 優待の迫害
一〇 至誠精励の迫害
一一 国法は果たして公平か
母のもだえ
一 生まれかかっても入籍は
二 五円の盗みでも
三 未練を残して御相談に
臨終の感謝

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パンフレット→PDF:チラシ 「日本の司法福祉の源流をたずねて」(表:563kb) (裏:234kb)


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