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少年保護の法理と実際  日本の司法福祉の源流をたずねて 4

少年保護の法理と実際・書影
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編者 少年保護婦人協会
A5判・上製クロス装・函入・272頁
定価:本体7000円+税 2016年9月末刊行
ISBN978-4-86330-165-8 C0332 

第4巻(第4回配本)
旧少年法はどのような理念で作られ、どのような体制で運用され、そしてどのように現代の少年法に続いているのか? 旧少年法および矯正院法(少年院法の前身)の成立に尽力した宮城長五郎や、実際に少年保護の実務に当たった東京少年審判所所長の植田粂三郞らによる少年保護の概説書を読みやすい現代表記で復刊! 6人の少年保護の大家による、旧少年法の理念や運用、少年審判所の職務や手続き、少年少女に関する諸法令についての解説をまとめた一冊。

本書より抜粋

少年保護司なる者が少年の観察をするに当たりましては、全く自分の友達、自分の弟子と云う様な形に於いてこれを指導するのであります。(宮城長五郎)

唯々無意味に可哀そうだとか、子供の犯罪だから可哀そうだとか云う単なる同情からではなくして、刑事政策に立脚してこの少年法は作られて居ると云うことを御注意願いたいのであります。(植田粂三郎)

親権を濫用する、つまり親の権力を振り廻して子供を虐待する。子供の為めになると云う事を考えないで子供を苛めると云うことは親権の濫用であります。(長島毅)

前にも申しましたように、それよりも寧ろ刑罰と云うものは因果応報的の懲罰でなくして、それは罪を犯したる者に対する救いでなければならない。(大原昇)

ですから犯罪の研究をするにも、論理的研究より寧ろ犯罪が何が故に生じて来たかと云う発生論的の研究が、刑事政策には最も重要なこととなります。(木村尚達)

つまりこれは刑罰思想が変遷し、犯罪観念と云うものが変わって来て、(中略)少年を善い方に導いて行かなければならぬと云うような責任を少年以外の人に負わしめることになって来て居るからであります。(鈴木賀一郎)

編者・執筆者一覧

〔編者〕
少年保護婦人協会 (しょうねんほごふじんきょうかい)
大正14年(1925年)に財団法人として設立。少年審判所の婦人少年保護司等により組織された。昭和元年(1926年)、女性のための保護施設「娘の家」を設立。昭和24年(1949年)の更生保護制度の発足後、全国的に組織を広げ、昭和39年(1964年)に、「全国更生保護婦人連盟」となった。平成15年(2003年)に「日本更生保護女性連盟」と改称。

〔執筆者〕
宮城長五郎(みやぎ・ちょうごろう)
東京帝国大学卒。東京地方裁判所判事、検事を務めた後、司法省参事官。司法省大臣官房保護課長として、旧少年法および矯正院法(少年院法の前身)の成立に尽力。大審院検事となり、起訴猶予者・執行猶予者の保護のための組織である帝国更新会を設立。東京地方裁判所検事正、長崎控訴院検事長を経て司法大臣、貴族院議員を務めた。検事としては五・一五事件、血盟団事件、神兵隊事件、帝人事件などを担当。思想犯転向者の保護の分野でも功績は大きい。

植田粂三郎(うえだ・くめさぶろう)
山口地方裁判所検事正、鹿児島地方裁判所検事正を歴任。東京少年審判所所長を務めた。著書に『少年の暗黒面』など。

長島毅(ながしま・はたす)
東京帝国大学卒。横浜正金銀行を経て官界に。司法東京地方裁判所および横浜地方裁判所判事を務めた後、司法省参事官となる。東京地裁検事、大審院検事を経て司法省民事局長。札幌控訴院および広島控訴院長を務めた後に岡田内閣の司法次官。のちに大阪控訴院長を経て大審院部長となり、大審院長に就任。

大原昇(おおはら・のぼる)
東京帝国大学卒。東京地方裁判所民事部長、司法省書記官、大臣官房保護課長をへて、大審院検事。

木村尚達(きむら・しょうたつ)
京都帝国大学卒。司法官試補として奈良地方裁判所詰、検事に任官し東京地方裁判所予備検事、岡崎区裁判所検事、千葉地方裁判所検事を歴任。ドイツに留学し、チュービンゲン大学、ミュンヘン大学で学んだ。東京地裁判事に復帰した後、京地裁部長、司法書記官兼司法省参事官、大臣官房調査課長、兼検事・大審院検事を歴任。司法省刑事局長に就任し、大審院検事、大審院部長判事、東京控訴院長を経て検事総長に就任した。米内内閣の司法大臣に就任し、内閣総辞職後は貴族院勅選議員を務めた。

鈴木賀一郎(すずき・かいちろう)
東京少年審判所審判官、東京少年審判所所長などを務めた。著書に『不良少年の研究』などがある。

[序文]牧野菊之助(まきの・きくのすけ)
東京帝国大学卒。前橋区裁判所判事となり、東京地方裁判所判事、東京控訴院判事、東京控訴院部長、大審院判事、京都地方裁判所所長、東京地方裁判所所長を歴任し、法学博士号を取得。名古屋控訴院院長、東京控訴院長、大審院部長を歴任し、大審院長に就任。教育にも熱心であり、中京法律専門学校や潤徳女子高等学校、足立学園中学校の校長を務めた。

[序文]小山松吉(こやま・まつきち)
獨逸学協会学校専修科卒。法学博士。大審院検事などを経て検事総長となり、司法大臣に就任。退任後に貴族院議員。法政大学総長、獨逸学協会中学校校長。弓道家としても著名であり、範士となった後に大日本武徳会顧問を務めた。

目次

序(牧野菊之助)
序(小山松吉)
少年保護の根本精神(宮城長五郎)
第一講 不良少年とは如何なる者か
第二講 不良少年と少年保護
第三講 少年保護の方法
第四講 少年審判の精神
少年法の大綱(植田粂三郎)
第一講 少年法の概念
第二講 少年審判所の組織および職員
第三講 少年審判所の職務関係
その一 裁判所およびその関係
その二 少年審判所の手続
その三 刑事処分と保護処分
その四 罰則
少年少女に関する民法(長島毅)
第一講 婚姻とその効力
第二講 親子関係
第三講 親族関係
第四講 相続関係
少年少女に関する刑法(大原昇)
第一講 犯罪と刑罰
第二講 刑罰処分と少年犯罪
少年少女と刑事政策(木村尚達)
第一講 序説
第二講 刑事政策の概念
第三講 犯罪の予防と社会の保護
第四講 犯罪予防と刑罰制度
第五講 犯罪予防と保護処分
第六講 犯罪予防と少年少女
第七講 年少者に対する教育保安処置
少年少女保護に関する関係法規(鈴木賀一郎)
第一講 関係法規の総説
第二講 事実問題に対する法規の運用

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