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図書館管理法大綱 (日本近代図書館学叢書第3巻)

図書館管理法大綱・書影
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著者:和田万吉
ISBN978-4-86330-176-4 C0300
定価:本体6000円+税 248頁
A5判・上製クロス装・函入 2017年6月15日刊

日本で初めて大学で図書館学を講じた和田万吉の名講義録!

東京帝国大学図書館館長として日本文庫協会(現・日本図書館協会)、文部省図書館講習所(現・筑波大学図書館情報専門学群)を設立し、『図書館雑誌』を創刊した和田万吉による図書館学講義(東京帝国大学1919年講義)を読みやすい現代表記で復刊!図書館館長や司書に求められる資質から委員会の運営、図書館建築や広報、購入・除籍図書の選択や目録作成、レファレンスに至るまで詳細に解説する、現在にも通じる一冊。図書館関係者必携!附録として「和漢図書目録編纂概則」(日本図書館協会制定)や「洋書著者書名目録編纂略則」(東京帝国大学附属図書館所用)も収録。(改訂新版)
※本書は現代人にも読みやすい新字・新かな(現代的表記)の改訂新版です。(原著:丙午出版社、1922)

日本近代図書館学叢書以後続刊予定!

著者略歴

和田 万吉(和田萬吉/わだ・まんきち)
図書館学者・書誌学者・国文学者。岐阜県大垣市生まれ。1890年帝国大学国文科卒業、帝国大学書記として帝国大学図書館の運営に携わり、田中稲城のもとで「帝国大学図書館和漢書分類目録」を編纂。1893年帝国大学図書館管理心得、 1896年に東京帝国大学助教授兼帝国大学図書館管理(館長)となり「帝国大学図書館の規模拡張に関する建議」を提出、「東京帝国大学図書館商議会」(現・図書行政商議会)を発足。1897年には「館長」職制制定後初の東京帝国大学図書館館長となる。1909年から欧米各国に留学し、帰国後東京帝国大学文学部教授に就任。日本で初めて大学で図書館学の講義を行なう。1919年文学博士。第一次世界大戦で焼け落ちたベルギーのルーヴァン大学図書館の復興にも携わり、同図書館に和書を寄贈。日本文庫協会(現・日本図書館協会)、文部省図書館講習所(後に図書館短期大学、図書館情報大学を経て現・筑波大学図書館情報専門学群)の設立にも携わり、『図書館雑誌』を創刊。日本における図書館および図書館学の発展に尽力し、古版本の研究等にも多くの業績を遺す。日本図書館協会の会長を二度務め、顧問も務めた。主な著書『図書館史』『日本書誌学概説』『謡曲物語』等。(1865〜1934)

目次


目 次
序 説
第一章 図書館の建設 図書館構成の第一歩
(一)図書館を有つ準備
(二)図書館建設の資源
(三)篤志者の建設費寄附の好例
(四)図書館の為の税法
(五)積極的図書館令の必要
(六)まず館長候補の選任
第二章 図書館委員会
(七)委員の選任
(八)委員会の権限および任務
(九)委員会と館長との関係
第三章 図書館の職員
その一 館 長
(一〇)館長の資格
(一一)館長選択の手段
(一二)館長の任務の概括
その二 助手(司書)
(一三)助手(司書)の位地および階級
(一四)助手の資格
(一五)助手たる人の性格
その三 図書館員の養成
(一六)館員採用の今昔
(一七)図書館の教育
第四章 図書館の建築
(一八)建築設計の準備
(一九)図書館に適用すべき建築の三要素
(二〇)建設の位置
(二一)設計案およびその募集方法
(二二)建物の型式および間取
(二三)集会場その他の設備
(二四)事務室
(二五)書庫
(二六)閲覧室
(二七)大図書館の設備諸室
(二八)集中式
(二九)図書館用の器具
第五章 図書館の常務
その一 図書の選択
(三〇)図書収容の途
(三一)購買図書の選択
(三二)図書選択の標準
(三三)図書選択の理則
(三四)選択者としての館長
(三五)郷土誌料の蒐集購買
(三六)収容図書の種別上比率
(三七)不用図書の除籍
その二 図書の購買
(三八)図書の注文および収受
(三九)図書の蔵館
(四〇)受入簿登録法
その三 図書の分類
(四一)蔵書の分類
(四二)分類の色々
(四三)記号法を伴う実用分類法
(四四)記号法を伴う分類法の二種
(四五)その他の分類法
(四六)図書記号法
(四七)分類法および図書記号法の我が図書館に於ける適用
その四 図書の排列整頓
(四八)書架上の整頓準備
(四九)函架表
(五〇)架上排置法
(五一)蔵書手続
その五 目録編纂
(五二)目録編製の目的
(五三)目録編成の起志およびこれに副う手段
(五四)書名目録
(五五)著者目録
(五六)分類目録
(五七)件項目録
(五八)四種渾成目録
その六 牌子目録記入法
(五九)目録記入法の諸型式
(六〇)事務用および閲覧室用目録
(六一)目録編纂規則
(六二)牌子記入要項
(六三)主記入に対する副記入
(六四)牌子目録の編成
その七 図書貸附法
(六五)図書貸附の準備および貸付規程
(六六)借受手続
(六七)貸出および返還に就いて図書館の執る手続
(六八)二票式および一票式
その八 図書配給法
(六九)本館の補助機関
(七〇)分館の配置方およびその設備
(七一)本館と分館との関係
(七二)巡回文庫
(七三)家庭文庫
(七四)学校の学級文庫
第六章 図書館行政事項
その一 諸規則
(七五)対公衆規則
(七六)対職員規程
(七七)図書館委員会規程
その二 報告類
(七八)報告類
その三 経常費予算
(七九)予算の編製
(八〇)基金
第七章 図書館宣伝法
(八一)宣伝の必要
(八二)宣伝の諸手設
附録第一 目録編纂規則
(一)和漢図書目録編纂概則(日本図書館協会制定)
(二)洋書著者書名目録編纂略則(東京帝国大学附属図書館所用)
附録第二 図書館学参考書一斑

本書より抜粋

「かくの如く図書館の性質が全く更新して、昔時の図書館とは名称は一つであっても作用は大いに異なるものになった以上は、その建物の構造、諸種の設備より始めて、内部における業務の様態もそれに相応して改まらねばならぬのは言うまでもない。これを一言すると、従前の静的に引き変えて動的となり、受動的保守的より能動的進取的に移り、参考的より実用的に遷った今日の図書館には、経営管理の点において往年とは異なったものがすこぶる多いのである。昔の図書館のようなものなら、当事者は所謂書物の番人で済むのであるが、今日では利用を主として、しかもそれを最も経済的に行なわねばならぬのであるから、事ごとに細慎の注意を要する」(序説

「そもそも図書館は社会教育の中心、地方文化の木鐸となるもので、人民の如何なる階級、如何なる職業にも交渉を有ち、読書人として集来する人々の如何なる請求にも耳を傾けてこれを果たさしめようと努める処であれば、これに従事する館長はその部下と共に真に民衆の名誉的僕隷を以て自ら任ずべく、殊に館長は全館員の模範として外部に対しては精々自我を節抑し、しかも内に在っては部下の服務を厳重に董督せねばならぬ甚だむつかしい位地に居るのである」(第三章 図書館の職員

「図書館の業務が一箇のプロフェッションであることを承認するまでに経過した歳月は随分久しいものであったが、既にこれを承認して見ると、このプロフェッションを執行する為には相当の準備教育が要ると云う事をも認める順序になった。今になって考えればこれは何でも無い事で、彼の弁護士となる者が法律の教習を受け、医師となる者が医学の教習を受ける世の中に、図書館家が図書および図書館に関する講修をせずに済む道理は無いのである」(第三章 図書館の職員

「図書館に就いて働く人間には何ら言うべき程の注意を払わず、ただ有り合わせの人を使って安上りに事を済まそうとばかりしていて、それで斯業の発達進歩を望むのは無理である」(第三章 図書館の職員

「日本近代図書館学叢書」の刊行にあたって

インターネットの普及によって情報の発信・入手が容易になり、ネットワーク化が加速度的に進んでゆく現代。このような時代の中、図書館はどこへ向かえばいいのか。知の集積かつ共有の場としての図書館の専門性とは何か。
日本図書館協会が「日本文庫協会」として設立されてから一二五年、『図書館雑誌』の創刊から一〇〇年である二〇一七年を迎えるにあたって、日本の近代図書館の創成期や発展期を担った先人たちの名著を繙くことは、図書館の「いま」と「これから」を見据えるために必須の作業であることは疑いを容れない。
本叢書がこれからの図書館の発展に寄与することを願ってやまない。
(「日本近代図書館学叢書」刊行委員会)
 「日本近代図書館学叢書」のパンフレットはこちら→PDF(969KB)

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