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教育と図書館 (日本近代図書館学叢書第4巻)

教育と図書館・書影
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著者:植松 安
ISBN978-4-86330-177-1 C0300
定価:本体6000円+税 256頁
A5判・上製クロス装・函入 2017年7月10日刊

すべての人に「教育」を、そのためには図書館を!

様々な理由で希望する「学校教育」を受けられなかった人にも、図書館は「教育」を提供できる。明治維新以降、日本の教育制度が整えられていく一方で複線化していき、早期に社会に出ていく人が多かった時代。急速な工業化に伴い、修業年限の短縮なども論じられていた時代。すべての人の「教育」のために、また生涯学習のために、図書館は何ができるか。のちに関東大震災で被災した東京帝国大学図書館の図書救出に尽力することになる図書館学者、植松安が第一次世界大戦の最中に著した名著を復刊!社会教育施設としての図書館の役割、主体的な学習者を育てる学校教育での利用法と教案、目録編纂法、図書館の歴史などについて論じる。附録に、国民教化のために図書館設立を促すとともに国家による図書館の「有害図書」の検閲にもつながった「図書館設立ニ関スル注意事項」(いわゆる「小松原訓令」)や「台湾総督府図書館規則」などを含む戦前の「図書館関係法規」および「日本図書館協会所定和漢書目録編纂概則」を収める。(現代表記の読みやすい改訂新版)

日本近代図書館学叢書以後続刊予定!

著者略歴

植松安(うえまつ・やすし、1885-1946)

1908年東京帝国大学文学部国文科卒。本居宣長の門弟・植松有信を曾祖父に、尾張藩の藩校・明倫堂の国学教授を務めた植松茂岳を祖父に、宮内庁御歌所の参候兼録事を務めた植松有経を父に持つ。旧制明倫中学校(藩校・明倫堂の後身)勤務を経て1914年に東京帝国大学文科大学の助教授兼司書官となり、図書館講習会では目録編纂法を講義。1920年に日本図書館協会副会長に就任し、1921年から洋行、各地の図書館を視察し『図書館雑誌』に寄稿。同雑誌の編集も受け持つようになる。1923年関東大震災で被災した東京帝国大学図書館の図書救出および復興に尽力。同大学で図書館学の講座も担当する。南葵文庫の東大図書館寄贈に関わり、移管完了まで同文庫の主事も務めた。1929年に台湾に渡り、台北帝国大学文政学部講師に、翌年同大教授に就任。台湾日日新報社長の河村徹とともに「台湾愛書会」を創立。1946年、台湾からの引揚船の中で死去。

目次

第一章 国民の教養と図書館の施設
一 時勢に応ずべき国民教育
二 本邦図書館の由来
三 図書館の意義
四 図書館の内容
五 図書館の種類
六 結 語
第二章 学校教育と社会教育
一 本邦に於ける両種教育の比較
二 英米および本邦出版界
三 ロンドン東京両市に於ける読書上の施設
第三章 学校図書館と授業の実際
一 生徒個性の観察
二 図書の選択
三 教案の作製と生徒の読書欲
第四章 専門家に対する図書館
一 図書館と学芸
二 古書の保存
第五章 米国図書館の発達と現況
一 序 言
二 移住民の慰安と読書
三 発達の過程
四 無料公開図書館
五 学校に対する図書館の位置
六 当事者の苦心と努力
七 館務に従う人物
八 建築と内部の設備
九 現今の状況
第六章 カード式図書目録の発達
一 印刷の発達と過去の目録
二  最近の傾向
第七章 書史学の研究と読書法
一 書史学
二 読書の標準
第八章 図書館から見た国語
一 国民と国語
二 事実上の問題
附 録
日本図書館協会所定和漢書目録編纂概則
図書館関係法規
 図書館令
 図書館令施行規則 
 台湾総督府図書館規則
 図書館設立ニ関スル注意事項[いわゆる「小松原訓令」]

本書より抜粋

今日我が邦においては、教育と云えば学校教育の外には無いものと信ぜられて居る。学費が十分に支給せらるれば学校に就き、さもなくば直ちに実務に就く。一旦実務に就いた子弟は、生涯学術知識の向上する機会、すなわち教育は授けられないことと信ぜられて居る。(中略)これは誠に吾人の遺憾とする所であって、学校教育以外の国民教育を隆盛ならしめ、不幸なる事情のもとに学校に通うことの出来ぬ子弟を何らかの方法を以て救い、これに必須の知識を授け、精神の修養を為さしめ、以て一人でも多く立派な国民を得たいという希望を実現したいのである。学校以外において、全国民に対する教育を如何に施設したらばよいか。夜学もある、講義録もあるというけれども、これらの手段よりも一層顕著なる成績を挙げ得ること火を賭るよりも明らかにして、しかもその手段方法の比較的容易なるものは図書館を措いて他に何が存するであろうか。第一章 国民の教養と図書館の施設

すなわちここにいわゆる国民という意味は、児童または第二の国民という意義では無く、もっとその範囲を弘めて、教育を終えた人も、また未だ教育を卒えざる人も、年の長幼を問わず、真に国家の要素たるべき国民、その国民の教育に優れて居るという状態を指して特に称するのである。ここに吾人がこの章において国民教育というのも全くこの意味であって、上は高等教育を修めた人も、下は小学校だけで止めた人も、また学校教育を卒えた後の人、あるいは全く学校教育を受くることが出来なかった人、これら全体を教育するといういわゆる大教育の眼を以て、国民全体を見たいのである。
第一章 国民の教養と図書館の施設

図書館は、学校が公衆に対して棄てた方面の教育を拾い上げて、これに意義あらしめ生命あらしむるものである。図書館は学校が生徒に対して、ますます学校教育の特色を発揮して幸福を授くると等しく、公衆に対して自習、自覚、自助の精神を、最も有功に与えつつあるものである。
「米国図書館の抱負」として 第五章 米国図書館の発達と現況
 「日本近代図書館学叢書」のパンフレットはこちら→PDF(969KB)

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