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トップページ >> 既刊・新刊 >> 日本禁酒・断酒・排酒運動叢書 >> 仏教と酒〜不飲酒戒史の変遷について

仏教と酒 不飲酒戒史の変遷について (日本禁酒・断酒・排酒運動叢書第3巻)

仏教と酒
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著者:藤原暁三
ISBN978-4-86330-182-5 C0321
定価:本体6000円+税 232頁
A5判・上製クロス装・函入 2017年7月25日刊

日本仏教界では、「酒」はどのように扱われてきたのか?

原始仏教はもちろん、後世の大乗仏教においても古来より、飲むことを禁じられてきたアルコール飲料。しかし、なぜ日本の仏教者だけは飲酒にこれほど寛容なのだろうか? 他宗教との「飲酒観」の比較を行い、仏教の独自性を明らかにするとともに、様々な経典、各宗派の宗祖や名僧の著述、日本で過去に出された禁酒令などを多数引用しながら日本仏教における不飲酒戒の変遷について詳細に論じる。宗教家、仏教研究者、文化史研究家などにも必携の書! 現代表記による読みやすい改訂新版。

日本禁酒・断酒・排酒運動叢書以後続刊予定!

著者略歴・編者(解説者)略歴

〔著者〕藤原 暁三(ふじわら・ぎょうぞう)
禁酒運動家、僧侶。駒澤大学仏教学科本科において、後に日本禁酒同盟の第六代会長となる諸岡存に学ぶ。著書に『日本禁酒史』、論文に「天桂禅師の性行」など。

〔本叢書編者〕日高 彪(ひだか・たけし)
昭和44年5月28日、名古屋市に生まれる。文学・歴史研究家。東海中学・東海高校(浄土宗)に学ぶ。平成6年3月、早稲田大学第一文学部文学科日本文学専修卒業。出版社勤務を経て現在に至る。

目次

一 緒 言
二 宗教と酒
 イ キリスト教と酒
 ロ 儒教と酒
 ハ バラモン教と酒
三 仏教不飲酒戒史の開展
(一) 仏陀と酒
 (1) 仏教の開創とその宗教的特色
 (2) 不飲酒戒制定の因縁
 (3) 五戒の一としての不飲酒戒
 (4) 薬用としての酒
(二) 部派仏教と酒
 (1)四分律に於ける不飲酒戒
   イ 因 縁
   ロ 酒の十過
   ハ 酒の種類
   ニ 酒と非酒との区別
   ホ 配 罪
 (2) 『正法念処経』に於ける飲酒観
 (3) ジャータカに於ける酒
(三) 大乗仏教と酒
 (1) 『楞伽経』に於ける飲酒観
 (2) 『大智度論』の飲酒観
 (3) 梵網の不飲酒戒
 (4) インド奉仏諸王の禁酒政治
四 日本仏教不飲酒戒の変遷
(一) 古代の飲酒観
(二) 奈良仏教と酒
   イ 僧尼令の禁制
   ロ 奈良朝廷の禁酒令
(三) 平安仏教と酒
 (1) 平安初期の教界と酒
 (2) 伝教・弘法両大師の精神
 (3) 平安仏教に於ける不飲酒戒の歪曲
   イ 僧侶の質の低下
   ロ 神仏習合思想による妥協
   ハ 末法思想による無戒気分
(四) 鎌倉仏教の二傾向
 (1) 排酒派
   イ 南都仏教
   ロ 禅 宗
 (2) 開酒派
   イ 法然上人
   ロ 親鸞上人
   ハ 日蓮上人
ニ 兼好と無住
(五) 室町戦国時代の仏教
   イ 夢窓国師の家訓
   ロ 五山仏教
   ハ 蓮如上人
(六) 江戸時代の仏教と酒
   イ 黄檗の隠元と潮音
   ロ 済門の盤珪と一糸
   ハ 曹洞禅の排酒者
五 食肉五辛と酒
六 開酒の典拠と称せられるものの批判
   イ 祇陀太子
   ロ 末利夫人
   ハ 十住毘婆娑論
七 新仏教排酒運動

本書より抜粋

「仏陀は酒を禁じ、全然無酒宗教を開創せられた。この仏教の宗教的特色はインドより支那に伝わっても、ビルマ、シャム、セイロン等に入っても、今日に至るまで永く仏陀の禁制として仏教徒の間に守られて来た。しかるに、独り日本仏教はこの禁制を緩漫にし、酒を飲むことを不思議とせざるまでに迷夢に入ってしまった。酒を飲む日本仏教を目して、真実の仏教にあらずと、泰西仏教研究者に疑問を懐かしめるまでに至っている。かく仏教本来の宗教的特色が歪曲せしめられた原由は何辺に存するであろうか、ここに、上下一千三百年を通じて日本仏教の飲酒観の変遷について略述し、その由って来る所を検討し、これを明らかにしようと思う」(四 「日本仏教不飲酒戒の変遷」)

日本禁酒・断酒・排酒運動叢書「刊行の辞」

アメリカの所謂「禁酒法」について、鼻で笑い馬鹿にするが如き態度をとる日本人は多い。だが、アメリカの道徳的改良主義に源を発する同法が、結果的には失敗に終わったとはいえ、如何に真摯な問題意識から起こった、人類史上稀にみる「実験」であり「試行錯誤」であったのかを我々は改めて確認する必要がある。
日々目の当たりにする「酒害」の問題に、目を背けることなく、世に警鐘を鳴らし、それと戦い続けた慧眼の持ち主は、米国のみならず我が国にも多数存在した。しかも、米国の「禁酒法」より遥か昔、古代からわが国では、「禁酒運動」が細々ながら連綿と続けられてきたという事実は、本叢書第一巻「日本禁酒史」において明らかになるであろう。
本叢書は、そのような先人諸賢の言葉に謙虚に耳を傾け、今後の「禁酒運動」発展の一助となるよう、広く古今の名著を収集して編纂されたものである。
「運動」といっても、何もプラカードを掲げて市中を行進するばかりが「運動」ではない。我々の周りの問題飲酒者に注意を喚起し、手を差し伸べることもまた、立派な「運動」なのである。
酒害は真っ先に「人間関係」を破壊するが、酒害からの回復もまた「人間関係」によって齎される。或る種の目的を遂げるべく、国や社会、地域コミュニティー、家族などにおける「人間関係」に一定の影響を与えんとすること、それを広い意味で「運動」と呼んで差し支えないとの理由から、本叢書に「運動」の語を冠した次第である。
本叢書が、我が国におけるこれからの「禁酒運動」を理論的に後押しし、一人でも多くの酒害者やその家族の方々に希望の光が兆すことを祈るばかりである。(日高彪「巻頭言」)
「日本禁酒・断酒・排酒運動叢書」のパンフレットはこちらPDF(623KB)

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