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トップページ >> 既刊・新刊 >> 市民のためのお酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン

市民のためのお酒とアルコール依存症を
理解するためのガイドライン

市民のためのお酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン
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監修:樋口 進
著者:長 徹二
定価:本体1200円+税 四六判 並製 200頁
ISBN978-4-86330-188-7 C0047
2018年2月16日刊

お酒やアルコール依存に関する俗説ではなく、医学的に正しい知識をわかりやすく紹介!
お酒に関連する問題や困難を抱えている人達に「寄り添う」ためのヒントが満載!

アルコール関連障害や依存症の研究者が作成した、お酒と上手に付き合うための医学的に正しいガイドライン! お酒やアルコール依存に関するQ&Aに加え、依存症治療ツールとしてのカードゲーム、ARASHI(アラーシー;Addiction Relapse prevention by Amusement-like Skill-up tool for Help-seeking Innovation)の紹介も! アルコール依存の当事者や家族や友人などの「生きづらさ」に寄り添い、回復へとつなげるための一冊。
本書は平成26〜28年度厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業 精神障害分野「アルコール依存症に対する総合的な医療の提供に関する研究」(代表:樋口進)の分担研究「アルコール依存症の実態に関する研究」(研究分担者:長徹二)の成果物に加筆修正を行ったものです)

著者紹介

〔監修〕樋口 進(ひぐち・すすむ)
現職: 独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長。昭和54 年東北大学医学部卒。米国立保健研究所留学、国立久里浜病院副院長などを経て現在に至る。WHO 研究・研修協力センター長。WHO 専門家諮問委員、WHO 依存フォーラム議長(2017年)、厚生労働省アルコール健康障害対策関係者会議会長、厚生労働省依存検討会(2013年度)座長ほか。国際アルコール医学生物学会(ISBRA)前理事長(2018年大会長)、日本アルコール関連問題学会理事長(2017年大会長)、国際嗜癖医学会(ISAM)アジア太平洋地区代表(2014年大会長)、国際行動嗜癖学会理事(ISSBA, 2019年大会長)ほか。

〔著者〕長 徹二(ちょう・てつじ)
三重県立こころの医療センター 診療部次長。三重県立看護大学臨地准教授。日本アルコール・アディクション医学会評議員。認定NPO 法人日本若手精神科医の会(JYPO)多職種連携・教育委員会委員長。飲酒運転の調査を行い、内閣府「常習飲酒運転者の飲酒運転行動抑止に関する調査研究」委員会のヒアリング委員、三重県飲酒運転ゼロをめざす条例の県議会公聴会の代表参考人を務めた。断酒3本柱に関する調査や依存症を抱える人の生きづらさに関する多施設研究など、本書籍を作成した仲間と共に研究し、治療ツール「ARASHI(アラーシー)」を作成している。東日本大震災後に宮城県石巻市での医療支援を継続しており、アルコール関連問題の研修に関する介入研究で、平成27年度日本精神神経学会の国際学会発表賞を受賞している。

本書より抜粋

お酒は数千年も前から存在し、人類の生活や文化の中に大きな影響を与えてきました。
成人にとっては身近な飲み物ですが、そのメリットばかりが強調されてデメリットを知る機会は少ないように思います。正しい知識を得る機会がないままにお酒に関連する疾患にかかってしまう人が多く、私たち医療者は胸を痛めてきました。同時に、アルコール医療にかかわる人がこのテーマで啓発する機会があれば、逆にその害ばかりが強調されてきた経緯もございます。双方共に間違ったことを伝えているわけではないのでしょうが、“強調”するがゆえに、その伝聞が誤解を招いたり、俗説を作り上げてきた可能性は否定できません。(「あとがき」より)

アルコール関連問題を抱えている人の診療に携わっていると、「自ら健康を害する者をどうして助けるのですか?」というご意見を頂戴します。私も医師になりたての頃に、そう思っていたこともありました。でも、そう思っていた頃の治療は散々でした。「治療はアルコールを断つしかない」と正論を振りかざして、その“正しい”治療に合意しない患者さんは病院を去っていきました。(中略)そして、多くの患者さんに教えていただいたことは、断酒している間も飲みたい気持ちが続いている反面、飲んでいる時もやめたい気持ちがあるということでした。一見すると、この「飲みたい」気持ちと「やめたい」気持ちは矛盾するように思われがちですが、いずれの気持ちも本音であり、どちらか一方の行動を選択するのは至難の業なのです。(「あとがき」より)

本書には、さまざまな対処方法をなるべく具体的に記載しました。この冊子があなたやあなたの身近な人たちにとって、お酒との付き合い方や関連する問題について考えていただくきっかけになることを願っております。アルコール依存症を抱える人は、お酒の問題だけでなく、その根底に潜むさまざまな生きづらさを抱えていることを皆様に理解していただくことが、本書の重要なポイントなのです。私たち作成委員は、お酒に関連する問題や困難を抱えている人達への治療や研究に従事しておりますが、医療だけでは完結しえない多くの問題があることを実感しております。こうした問題を解決すべく、私たちは今後も精一杯努力をし、皆様ともいろいろな形で連携をとらせていただければと考えております。本書が、皆様のお役にたてましたら幸甚です。(「あとがき」より)

目次

まえがき
第1部  知識編
お酒の歴史
お酒に関する基礎知識
お酒と上手につきあうために
お酒による身体の病気
お酒が脳に与える影響
女性・高齢者・若者について
お酒と睡眠
アルコール依存症とその治療
お酒がまねく精神疾患
飲酒運転について
第2部 お酒・アルコール依存症に関するよくある質問
第1章  お酒に関するQ&A
Q.「酒は百薬の長」って本当ですか?
Q.お酒の脳への作用について教えて下さい
Q.適正飲酒量という基準があるのですか?
Q.私の知人は「節度ある適度な飲酒」より多く飲んでいるけど、どうすればいいですか?
Q.「節度ある適度な飲酒」はわかったけど、アルコール量の計算って難しいですね
Q.適量を頭でわかっていても、つい飲み過ぎてしまいます。どうすればいいですか?
Q.飲酒した時に感情のコントロールができなくなる人は、どうしたらいいですか?
Q.お酒を飲んだほうが本音で何でも話せると言いますが、本当ですか?
Q.先輩や上司など目上の人に勧められると断りにくいのですが、どうすればいいですか?
Q.お酒は飲んでどのくらいたつと分解されますか?
Q.食事を摂らずにお酒を飲むとすぐに酔ってしまうのは何故ですか?
Q.ビールは痛風によくないと聞きました。焼酎の方がいいのでしょうか?
Q.眠れない時にお酒を飲む習慣があるのですが、大丈夫でしょうか?
Q.向精神薬(脳に作用する薬)を服用している方が習慣的に飲酒したら、体に影響がありますか?
Q.チャンポン(様々な種類のお酒を飲むこと)は悪酔いするのはどうしてですか?
Q.お酒を買いに行く→飲んで酔う→なくなると買いに行く、という行動を1 日のうちに何度も繰り返す人がいますが、どうしてでしょうか
Q.親が酒飲みだと子供もそうなることが多いのはどうしてですか?
Q.家族の飲酒量が増えていて心配です。どのような言葉をかければ良いですか?
Q.未成年の飲酒はどうして禁じられているのですか?
Q.ノンアルコール飲料は、未成年者も飲んでいいのですか?
Q.お酒を飲み続けると認知症になるのでしょうか?
Q.喫煙しながらの飲酒は良くないと聞きますが、どうしてですか?
Q.別居中の家族が飲酒後に電話をかけてきて、翌日覚えていないことがあります。どのように対応したらよいですか?
Q.お酒を飲める人と飲めない人がいますが、何か判別する方法はありますか?
アルコールパッチテスト
第2章 アルコール依存症に関するQ&A
Q.アルコール依存症になったら自分で気が付くものですか?
Q.アルコール依存症は脳の病気であるという面を詳しく教えて下さい
Q.酒好きとの違いはなんですか?どこからが依存症ですか?
Q.アル中とアルコール依存症って違うのでしょうか?
Q.からみ酒など酒癖が悪い人とアルコール依存症を抱える人との違いは何ですか?
Q.アルコール依存症はいつ頃からあった病気ですか?
Q.アルコール依存症が疑われる家族や知り合いがいる時、
どこに相談すればいいでしょうか?また、一緒に相談に行くにはどのように声をかければいいのでしょうか?
Q.アルコール依存症になると脳が萎縮すると聞いたのですが本当ですか?
Q.アルコールの問題があれば、入院しないといけないのでしょうか?入院すればすぐに治りますか?
Q.アルコール依存症だけでなく、認知症も抱えており、お酒をやめるように言っても覚えていないのですが、どうしたらいいでしょうか?
Q.アルコール依存症の治療はいつまで続けるものなのでしょうか?
Q.アルコール依存症になったら1 滴も飲んじゃいけないの?治療は断酒しかないのでしょうか?
Q.昼間からお酒を飲んでいるホームレスの人たちを見かけるのですが、アルコール依存症を抱える人は多いのでしょうか?
Q.お酒を飲み続けたら強くなると聞きますが、強くなれば依存症にはならないのですか?
Q.アルコール依存症になりやすいお酒の飲み方やお酒の種類はあるのでしょうか?
Q.アルコール依存症にならないように長くお酒を楽しむ秘訣を教えてください!
Q.アルコール依存症を抱える人には酒蒸しなど酒を使った料理やみりんを使用した料理を出してはいけないのでしょうか?
Q.アルコール依存症を抱える人を宴会に誘うのはよろしくないのでしょうか?
Q.アルコール依存症になりやすい人となりにくい人がいるのですか?
Q.アルコール依存症になったらどこに受診すればいいのですか?
Q.アルコール依存症は遺伝しますか?
Q.アルコール依存症を抱える患者さんの数は増えているのですか?
Q.アルコール依存症に関して男女差はありますか?
Q.アルコール依存症はどのくらいの期間飲んだら発症するのですか?
Q.体を壊しているのに、家族のことを思っているのに、依存症になるとなぜやめられないのですか?
Q.アルコール依存症は予防できますか?
Q.アルコール依存症の治療に関する薬剤はありますか?
Q.アルコール依存症になる人はもともと意志が弱い、だらしない人なのでしょうか?
Q.アルコール離脱症状ってどのようなものを指しますか?
Q.自助グループ(断酒会・AA)はどんなところですか?
Q.自助グループに行くと悪友ができるって本当ですか?
Q.自助グループに行くことに抵抗感が強い人にはどのように関わればいいですか?
Q.自助グループに家族も一緒に行った方がいいですか?
市民のためのお酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン作成後記
第3部  ARASHI(アラーシー)ゲームマニュアル
ARASHI(アラーシー)ゲームマニュアル
準備するもの
ゲームの進め方
3種類のお楽しみカードの紹介
難易度設定のバリエーション
ARASHI 危機状況カードの解説
アルコール
薬 物
ストレス全般
アイテムカードの紹介
印刷用のカードと取扱説明書について
(おまけ)ARASHI 誕生秘話
ARASHI 作成委員(50音順)
あとがき


カードゲーム型依存症治療ツールARASHI(アラーシー)は本書には付属しておりません。以下のサイトから無料でダウンロードできます。(三重県公式サイト内「三重県立こころの医療センター」)
ARASHI(アラーシー)のカードと取扱説明書の無料ダウンロード
http://www.pref.mie.lg.jp/KOKOROHP/HP/000183407.htm
PDF ARASHIカードセット
http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000721618.pdf
PDF 取扱説明書
http://www.pref.mie.lg.jp/KOKOROHP/HP/000183407.htm

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