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江戸好色文学史

江戸好色文学史
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著者:斎藤昌三
定価:本体7000円+税 A5判・上製・クロス装・箱入
ISBN978-4-86330-191-7 C0091 256頁
2018年4月25日刊

「好色」に江戸の民衆の声を聴く。
真の大衆文学史!

遊郭もの、衆道もの、笑話、浮世草子などなど……。多くの人々に読まれ、愛され、そして文化に多大なる影響を与えたにもかかわらず、一般的な文学史ではあまり扱われない、江戸期の「好色文学」作品。「書痴」と呼ばれた男・斎藤昌三が、それら「好色文学」を紹介!井原西鶴の『好色一代男』などはもちろん、稀覯本からの引用も多数収録。政府の公式文書に基づく「正史」ではなく、民衆の生活・風俗の変遷発展をたどる「民間史学」の構築を目指した斎藤昌三による、真の文学史。

著者

斎藤昌三さいとう・しょうぞう
古書学、蒐集家、発禁本研究などで「書痴」と呼ばれた人物。猥褻本の研究、編訳でも知られる。出生名は「政三」(しょうぞう)。関東大震災で戸籍焼失後に「昌三」と改名。横浜逓信省、大蔵省建設局などを経て、アメリカ貿易会社である五車堂に勤務。貿易の過程で多くの明治期の書籍に触れる。退社後、雑誌『おいら』『愛書趣味』を創刊。書物展望社を設立し、庄司浅水や柳田泉らと雑誌『書物展望』を創刊。日本評論社の『明治文化全集』や改造社の『現代日本文学大年表』(『現代日本文学全集』別巻)、粋古堂書店の『現代筆禍文献大年表』などの編集に参加。吉野作造・尾佐竹猛・木村毅・宮武外骨らとともに明治文化研究会に参加。政府の公式文書に基づく「正史」ではなく、民衆の生活・風俗の変遷発展をたどる「民間史学」の構築を目指した。日本書票協会の会員として蔵書票の蒐集・研究を行い、茅ヶ崎市立図書館初代館長および名誉館長も務めた。(1887年〜1961年)

本書より抜粋

従来のわが文学史は、特権知識階級のみの文学史であって、すなわち今日でいう大衆文学と、庶民の嗜好的読物を含んだものはほとんど皆無だった。殊に江戸期と称する近世の側面文学史こそは、真の民衆の知識と嗜好を知る上に於いては、一部特権階級の主体文学よりは実際文学であったにもかかわらず忘却されがちで今日に到っている。なかんずく江戸後半期に於いては、公開を許されぬ暗流的なものの横行した時代で、この暗流方面に属するものは、曩に『東亜軟性書考』に於いて大要を紹介して置いたが、この暗流と上流との中間を流るるものが、この好色文学と云わるべき存在であろう。本稿はこの傍系文学史を企画して見たが、なにぶん処女林の開拓であり、大要を渉猟したのみで、未だ資料の尽くさぬものや、全然漏らしているものも相当あると思うが、それらは後日研究家に依って大成されるであろうから、本稿はその折の捨石ともなれば幸甚である。(「序」より)

目次


序 説
 第一章 仮名草子時代から浮世草子・江戸小説時代
 第一節 恋愛物
 第二節 教訓物
 第三節 笑話物
 第四節 旅行記文学と名所記と川柳
第二章 稚児物と野郎物
 第一節 稚児若衆に関する仮名草子
 第二節 若衆歌舞伎と野郎評判記
第三章 花街物
 第一節 序 説
 第二節 物語と諸わけ物
 第三節 細見と評判記
第四章 あぶな絵その他
 第一節 艶画の大要
 第二節 雑 録


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